「スペインが好きなので、スペインに住んでみたい」
そう思ってはみても、実際に海外への移住となると、仕事の問題やお金問題、そしてもっと大変な滞在許可の問題など、実行に移すためには、実現までには解決すべき障害が山積みだ。
そして、いろいろな問題を解決して、ようやく移住にたどり着いたとしても、知人もいない、勝手のわからない異国の地で、様々な面倒な役所や公共サービスなどの手続きをこなしていけるのか、不安も大きい。
そこまで考えると、「スペインへの移住なんて所詮は夢」と諦めてしまうのも仕方ないのかもしれない。

そこで、移住を考える人にぜひ体験してもらいたいのが、移住よりもずっとハードルの低い90日以内の短期滞在だ。
ということで、これから何回かに渡って、マドリード短期滞在についての情報をお届けしたいと思うが、まずは初回の導入編として、マドリードで短期滞在の魅力について掘り下げてみよう。

マドリード短期滞在
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とにかく手軽なスペイン短期滞在

スペインはシェンゲン条約加盟国のひとつであり、180日の期間内で最大90日間であれば査証(ビザ)免除で滞在が可能だ。つまり、短期滞在であれば、もっとも面倒な滞在許可の問題を考える必要がない。
これが最も大きなメリットだ。

居住就業許可をいきなり目指そうとした場合、運よく雇用主を見つけても、労働ビザがスムーズに出るとは限らない。スペイン人やEU人は、外国人向けの労働許可の手続きの面倒さを知らないので、最初は簡単に「雇うよ!」と言ってくれるけど、実際の手続きの煩雑さを知ると断念するという例をこれまで多く見聞きしてきた。

確かに学生ビザならば、認定の語学学校に登録すれば基本的に誰でも取得できるが、費用も手間もそれなりにかかる。そして、いきなり最初にビザを取って長期滞在にチャレンジした場合、「これだけ苦労して準備したんだから、必ず成功しなければならない!」と、どうしても気を負ってしまいがち。その期待と気負いの分、現実の壁にぶつかったときに、「こんなはずじゃなかった!」という落差に打撃を受ける人達の姿も見てきた。
一方で、「気軽なお試し」から入るほうが、実は思い切って新しいことに飛び込めることもある。

2017年4月にスペインとのワーキングホリデー協定が締結されたが、30歳以下という年齢制限もあるうえ、申請条件や受入数などの詳細はまだ発表されていない。

【参考記事】
スペインとのワーキングホリデー協定締結!自由な留学?就職活動期間?生涯一度のチャンスをどう活用する?

ということで、まずは短期でも実際に生活してみることで、旅の最中とは違っても見えてくるものがあるはずだ。
旅するのは楽しい国が、仕事をして住むのに快適な国とは限らないし、何より自分に合うのかどうかも、実際に一定期間住んでみなければわからない。数ヶ月のお試し滞在ですべてが分かるわけではないが、少なくとも旅行者としてホテル住まいで観光地のみを回るよりは、生活者の視点に近づくことは可能だ。
あるいは海外で一定期間過ごしてみることで、日本での生活の良さに気づけることもある。そのうえで、慣れ親しんだ日本での生活の快適さを再認識して、新たな気持ちで人生を楽しむ気持ちになれるかもしれない。

ともかく、百聞は一見にしかず。まずは一度、自分自身で体験してみて、それから、本気でハードルの高い移住の準備を始めるのか、あるいは時々遊びにくるスタイルで楽しむのかを決めても遅くはないと思うのだ。

さらに、家具や電化製品、基本的な生活用品などを備えた賃貸アパートも多いので、旅行の延長で手軽に住み始めることができるのも魅力だ。
私もマドリードでこれまで何度も引っ越しをしているが、ベッドや棚やクローゼットなどの家具や、皿や鍋、フライパンなどのキッチン器具、冷蔵庫や洗濯機などの基本的な家電製品はすべて備え付けてある賃貸アパートばかりだった。
在住者でも単身などであれば、大きな家財道具がないので、引越しも気が抜けるほど簡単なものだ。

ということで、スーツケースひとつでやってきて、面倒な手続きも引っ越しの手間も一切なく、手軽に「スペインに住んでみる」を体験できる環境が整っている。
マドリードでの短期滞在用のアパートの探し方については、次回に詳しく解説しようと思う。




マドリード滞在をお勧めする理由

スペインに短期滞在をするにあたって、ひとつの都市に腰を落ち着けるのも、何都市か場所を変えながら滞在するのも良いが、個人的にはマドリードを滞在先の候補に入れることをお勧めしたい。
私自身が住んでみて「やっぱりマドリードは居心地が良いなあ」と感じていることが大きな理由だが、そのあたりをもう少し分かりやすく掘り下げてみたいと思う。

交通の便が良い

日本からの航空便は、マドリードを経由することが多く選択肢が多いうえに、スペイン国内へのアクセスの良さもスペインの都市ではピカイチだ。
首都マドリードはイベリア半島のほぼ中央に位置するため、高速鉄道AVEも、基本的にマドリードを基点として各地へと伸びている。また飛行機でのアクセスも、ローコストも含めて、マドリードを経由する便が多い。
トレドやセゴビア、アビラなど、バスや鉄道で日帰りで行ける世界遺産がいくつもあるし、高速鉄道AVEを使えば、コルドバやセビリア、バルセロナ、レオンなど魅力的な都市へ、2時間前後でアクセスできる。
マドリードを拠点に、いろいろなスペインの都市への小旅行も楽しめるのは大きな魅力だ。
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楽しみ方の選択肢が多い

プラド美術館やレイナ・ソフィア芸術センターをはじめとして、数多くの魅力的な美術館があり、しかもその多くは無料入場の時間があるし、フリーパスも格安で利用できる。美術にさほど興味がない人でも、散歩がてらスペインの誇る巨匠達の作品を観に行けるとしたら、ワクワクしないだろうか?

スペインのブロードウェイと言われるグランビアをはじめ、大小多くの劇場があり、日々コンサートや演劇、ミュージカルが楽しめるし、ライブハウスでクバータ片手にジャズやロックのライブ演奏を楽しむのいいし、街の喧噪に飽きたら、カサ・デ・カンポやレティーロ公園での散策や、近郊の小さな村へハイキングにでかけることもできる。
その楽しみ方の幅の広さは、マドリードはスペインでも有数だ。

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人々の距離感が心地よい

次に、居心地の良さを大きく左右する「マドリードの人々」。
よくスペイン人は「マドリードの人は冷たい」と言うが、それはスペインの地方都市との比較であって、日本から来た私は少し違う印象を持っている。
例えば、道で言葉が通じない外国人が迷っていたら、だいたいいろんな人が立ち止まって、迷わずスペイン語で、あっちだ、こっちだと言い出す。道で転ぶと、いっきにわっと手を貸そうと人が寄ってくるし、スーツケースやベビーカーをもって階段を上がろうとすると、手を貸してくれる人が多い。
カタコトのスペイン語でも、「上手だねえ!」と一生懸命に聞いてくれる人も多い。
かといって、寝掘り葉掘りズカズカと踏み込んでくる人も少なく、適度な距離を保ってくれる人が多い印象だ。

また、スペイン各地やいろんな国から人が集まっているので、マドリードの外にも世界があることを知っている。(「おらが村が世界一。他の場所には行ったことないけど」という愛らしくも独善的な地元愛に生きているスペイン人も結構いて、たまになら面白いけど、他の地域の良さを認めなかったり、尊重できなかったりする、あまりに狭く濃密なコミュニティだと個人的にはちょっと疲れてしまう。)

そういう意味でも、近すぎず、遠すぎず、心地よい距離感で接してくれる人がマドリードには多い気がする。

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将来の移住を見越してのメリット

最後に、長期の滞在や移住を目指す人にとってのマドリードを選ぶ利点についても触れておきたい。

これまで解説してきたメリットに加えて、まずは標準的なスペイン語が話されていることが挙げられる。スペイン国内では、カタルーニャ語やバスク語、ガリシア語、バレンシア語など、独自の地方言語を公式語にしている州もあり、それらの地域でも勿論スペイン語でも通じるが、スペイン語初心者であれば、それらの地方語と語彙が混じってしまう難しさもある。さらに長期の居住を考えた場合、地域のコミュニティーに入るには、やはり地方語も重要になってくる。子供を持つ場合は、それらの地域の言語の学校へ通わなくてはならない場合もでてくる。スペイン語に加えて、地域語まで習得しなくてはならないのは苦労も多い。

また、将来仕事を探すにもマドリードやバルセロナなどの都市部の方がチャンスが多いし、人脈も作りやすい。
あとは、パスポートの更新や証明書取得などのためにも日本大使館があるマドリードは便利だ。

日本への一時帰国を考えても、マドリードからならば、2016年10月から就航する日本への直行便が利用できる。地域によっては、マドリードに一泊してさらに地方都市へ移動が必要となり、時間的にも体力的にも費用的にも負担が大きい。自分の一時帰国は勿論、日本から家族や友人が遊びに来る場合にも、海外旅行に慣れていない人にとって乗り換えなく到着できるメリットは大きい。

その他にも、日本食レストランやアジア食材のお店なども多く、日本食が恋しくなっても安心な点もメリットに挙げておく。長期の居住となると、日本人学校などの日本コミュニティがそこそこある地域は心強い。

と、色々なポイントを並べてみたが、個人的には、雲ひとつない青い空とバルがあれば、それだけで人生の満足度がかなり上がる気がする。

いろんな人に体験して欲しいマドリード短期滞在

移住にむけての実験目的でなくても、一ヶ月間だけ海外で暮らしてみるという体験は、多くの人にとって新鮮でエキサイティングな体験になるはずだ。たしかに多少の滞在費はかかるが、過ごし方によっては旅行よりは経済的に過ごすことも可能だ。欧州とは異なり長期のバケーションが取りにくい日本ではあるが、学生の長期休みや転職のタイミングなどを利用して、好きな都市に住んでみることで、単に旅で訪れるのとは異なる何かを得ることができるはずだ。

それは、現地の友人だったり、毎日通うバルやお店の常連になることだったり、毎日のように通う小さな美術館の一枚の絵だったり、あるいはもしかしたら「人生を変える何か」との出会いかもしれない。
それは、実はその気になれば、誰にでも実現可能な、ちょっとした人生の冒険なのだ。

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