マドリードからのAVEが到着するサンタ・フスタ駅から車で30分ほど南下すると、ロス・パラシオス・デ・ビジャフランカという人口4万人弱ほどの小さな町がある。この町には、スペインで最古のフラメンコのペーニャと言われるエル・ポソ・デ・ラス・ペナスがあり、フラメンコの愛好家も多く、毎年6月にラ・ミステラ・フラメンコ・フェスティバルが開催される。

特に今回は、バイラオールのアマドール・ロハスとカンタンテのアルカンヘルが登場するとのことで、一週間ほど滞在してフラメンコと地元のグルメを堪能してきた。

太陽とグアダルキビル川のもたらした美食の町

実は近年この町は、グルメの町としても知られていて、セビージャ市内からも食を楽しみの訪れる人たちが多いのだそうだ。

町の西側のグアダルキビル川流域は、トマトなど野菜の産地であるとともに、特に湿地帯の土壌と豊富な水量がもたらす恩恵として、欧州最大の米の産地が広がっている。

昔は、日本のように苗を田植えしていたそうだが(この稲作の方式は、コリア・デル・リオにとどまった慶長遣欧使節団の日本人が伝えたという説もある)、現在は日本の水田よりもはるかに広大な水田地帯に対応するため、セスナで上空からもみ殻を撒くのだそうだ。
私たちが訪れたのは、ちょうど種まきの季節で、セスナが頻繁に飛んでいた。


水田地域に張り巡らされた水路では、ボラなどの魚も捕れる。


名産のトマトは、実がおおきく酸味が少なく甘みがしっかりしているのが特長で、街中のレストランやバルなどでは、どこに行ってもトマトが美味しかった。




また、季節によっては湿地帯のカモなどのジビエも楽しめるし、カディスやウエルバなども近く、新鮮な海の幸も豊富とあって、地元産の食材を使った美食がリーズナブルに楽しめる町として、セビージャなどの近隣からも訪れる人も多いそうだ。

私たちもいろいろな町のレストランやバルで食事を存分に楽しんだが、宿泊したホテル併設のレストランが特にお気に入りで、6日間ほどの滞在の間、何度もお世話になった。通りに面したバルには、夜になると宿泊客だけでなく地元の人々が集まり、タパスなどを楽しむ人々であふれる。その奥はレストランになっており、貸し切りできるサロンもある。

レストランの料理もバルのタパスもどれも美味しかったが、必ず試すべき一皿をあげるとすれば、ウズラの米料理Arroz con perdizだろう。スペインの米料理といえば、シーフードパエリアなど魚介系をイメージする人が多いと思うが、この町では肉系の米料理も美味しかった。

特にここのウズラの雑炊は、地元産の野菜とウズラの濃厚な旨味を吸った米は、おなかが一杯といいつつも、ついつい手が出てしまう。

タパスも非常に凝っていて、こちらはグラナダのお菓子ピオノノを模したパンとムース。

こちらは、生ハムの足に見立てた春巻き風のフライ。

二代目オーナーのホセ・フランシスコ・マヨ氏に案内してもらった地下のワイン蔵には、オーナーのお父上がワイナリーをやっていた頃から熟成されている、極甘ワイン ペドロ・ヒメネスが眠っていた。

ホテルもレストランもどちらのスタッフのサービスも非常にレベルが高く、フレンドリーかつプロフェッショナルで居心地がよく、町のどこへのアクセスしやすいので、この町に泊まるならぜひここをお勧めする。
ちなみに、さらにセビージャ市内からのバスも、このホテルのある通りのバス停に停まるのもありがたい。

Restaurante Manolo Mayo
https://www.manolomayo.com/
Avda. de Sevilla 29 41720 Los Palacios y Villafranca
Tel: 95 581 10 86 / 95 581 07 95

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