王侯貴族の女性たちが暮らしたデスカルサス・レアレス修道院は、シンプルなその外観に反して、修道院内は美しい壁画に覆われた主階段や、ルーベンスの下絵によるタペストリー、スルバランやブリューゲルなどの絵画など、見どころが多い。
ところが、入場には制限があり、時間指定のガイドツアー(スペイン語・英語)のみで見学ができるなど、気軽に行きにくいのが難点だった。
しかし、最近はオンラインで事前に入場チケットが購入できるので、整理券のために朝から並ぶ必要がなくなっている。
見学の際には、ぜひ、事前に時間指定のチケットを購入して、修道院を訪れてみよう。

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スペイン王家ゆかりの深い高貴な女性たちのための女子修道院

デスカルサス・レアレス修道院は、カルロス5世の娘でフェリペ2世の妹であるフアナ・デ・アウストリアによって建てられた。彼女は1552年に3歳年下のポルトガル王太子ジョアン・マヌエルに嫁ぐが、1554年に後のセバスティアン1世となる長男が誕生する18日前、夫であるジョアンが急死したために、若くして未亡人になってしまう。その後、兄であるフェリペにマドリードに呼び戻されたフアナ王女は、彼がチュダー朝イングランドの女王メアリー1世との結婚のために、オランダやイングランドへ行き不在の間、摂政を請け負うこととなり、フェリペが完全に帰国する1559年までフアナは立派に摂政を務めあげた。
兄フェリペの帰国に伴い摂政の役目を終えたフアナは、デスカルサス・レアレス修道院を設立し、その後ポルトガルに戻ることなく、生涯再婚をせず、この修道院とスペイン宮廷で過ごした。
フアナの死後も、1580年には神聖ローマ皇帝マクシミリアン二世の未亡人となったフアナの妹マリア・デ・アウストリアが、13歳の娘マルガリータとこの修道院に移り住むなど、その後も王女たちや貴族の女性などが住む女子修道院となった。




美しい壁画に覆われた主階段

修道院内には絵画やタペストリーなど見どころも多いが、なんといっても一番のみどころは美しい主階段である。
壁画はいくつかの時代に描き足されているが、二番目の時期に描かれた王家のバルコニーには、フェリペ4世と妻のマリアーナ・デ・アウストリア、王女マリア、王子フェリペ・プロスペロの一家が描かれており、この4歳で亡くなった王子が生存していた1661年以前に描かれたといわれている。
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デスカルサス・レアレス修道院と日本人の意外な関わり

実はこの修道院、日本人にとっては意外な関わりがある。
というのも、1614年12月20日にマドリードに到着した慶長遣欧使節団率いる支倉常長は、通商交渉に難航するなか、なんとか糸口をつかもうとキリスト教への改宗を決意する。そして、1615年2月17日に王家とゆかりの強いこのデスカルサス・レアレス修道院にて、スペイン国王フェリペ3世の立会いのもと洗礼を受けたのだ。これにより、支倉常長はスペイン国王の信頼を得ることに成功したとされている。

デスカルサス・レアレス修道院 開館情報

住所:Plaza de las Descalzas, s/n, 28013
最寄駅:Metro Santo Domingo, Sol, Opera
ウェブサイト 
開館時間 火-土:10:00 – 14:00 , 16:00 – 18:30 / 日・祝 10:00 – 15:00
閉館日:日曜
入場料:6€ (オンラインチケット販売 英語・スペイン語のみ)