スペイン人の生活に欠かせないコーヒーについては、以前も「スペインのコーヒーを満喫しよう!コーヒーの種類から注文の仕方まで」という記事で紹介した。ところが、2016-2017年あたりから、マドリードのコーヒー事情に変化が生まれている。今回は、そのキーワードとなっている「カフェ・デ・エスペシャリダ(スペシャルティ・コーヒー)」について、少し掘り下げて紹介してみよう。

<マドリード・コーヒー情報>
スペインのコーヒーを満喫しよう!コーヒーの種類から注文の仕方まで
マラサニャ界隈のカフェシーンが熱い!The Traveller
Santa Eulalia、オペラ地区でハイクオリティーなフレンチベーカリー&カフェ
マドリードで一番のバリスタのコーヒーを愉しむ。BICO、マラサニャにオープン

世界的トレンド 「サードウェーブ・コーヒー」

「サードウェーブ・コーヒー」という言葉を初めて耳にしたのは、2015年の夏頃、マドリードのカフェの取材中のことだった。
その取材は「日本人で初めてコーヒーを飲んだのは、支倉常長かもしれない(ウェブ版記事あり)」という大変面白いテーマで、日本から取材に来ていたライター氏からマドリードのサードウェーブ・コーヒー事情を知りたいとのリクエストを受けて、急遽、該当するコーヒーショップを探すことになった。

ライター氏の解説によれば「サードウェーブ」とは文字通り「第三の波」という意味で、19世紀後半から1960年代にかけてコーヒーが一般家庭に普及した第一の波、1960年代から2000年頃にかけてのスターバックスに代表されるシアトル系コーヒーの流行を第二の波とし、その後に起こった新しいコーヒーのトレンドを指しているのだそうだ。

2002年頃から始まったとされるこのコーヒーの第三の流行の大きな特徴としては、産地や品質、ローストなど「珈琲豆」へのこだわりが挙げられている。一杯のコーヒーをその背景も含めて、より深く味わいつくすことが重視されるのだ。「キリマンジャロ」「ブルーマウンテン」「コロンビア」など豆の産地を意識してコーヒーを味わうことは、 わたし達日本人のとってはごく普通のことだったのだが、 実は多くのコーヒー愛飲国ではこれまで当たり前ではなかった。スペインの一般的なバルに入って、「ブルーマウンテンをください」と注文するのは、これまでは一般的ではなかった。これは、例えば高級ホテル内にある、いかにもスノッブなカフェテリアに入っても、状況は変わらなかっただろう。




マドリードのカフェ・デ・エスペシャリダ

前述の2015年の取材の当時、マドリードでサードウェーブ系と言われているコーヒーショップは2軒のみ。そのうちの一軒は、サードウェーブという言葉を知らないままに、「美味しいコーヒーが飲めるなんだかおしゃれなお店」として私も通ったことがあるToma Cafeだったのだが、あれから数年後の2016年の終わり頃から2017年の夏にかけて、類似の「コーヒーにこだわる専門店」が急激に増加した。

そのキーワードになっているのが 「スペシャルティ・コーヒー」だ。広義では「サードウェーブ」もこれに含まれる、より上位の概念とも言われているが、マドリードではこちらのスペシャルティ・コーヒーを意味する「カフェ・デ・エスペシャリダ」というワードが定着しつつあるようだ。

このマドリードの新しいコーヒーのトレンドをよりリサーチしようと、新規オープンのカフェ・デ・エスペシャリダのお店をいくつか回ってみたところ、いくつか共通する特徴が見えてきた。


コーヒーを専門とするバリスタがいる

基本的にはコーヒーがメインであることもあり、コーヒーを飲むためだけのスタンドのみやテイクアウト中心の小さなショップも多いが、必ずコーヒーの専門職であるバリスタがコーヒーをいれている。

小規模な焙煎工場のコーヒー豆を使用している

スペイン国内や欧州の比較的小さく、こだわりの焙煎を行っている工場のコーヒー豆を使用しており、一般的な大量生産のコーヒー豆よりも価格も高め。何店舗が回った限りでは、コーヒー豆の産地が明示的に示されることはあまりなく、産地による選択も一般的ではないが(※)、バリスタに質問すれば、喜んで焙煎工場や豆の産地やブレンドの情報を詳しく教えてくれる。私がこれまで聞いた範囲では、酸味の立つアフリカ産がスペインのバリスタには人気のようだ。

スペインの一般的なカフェ以外の飲み方もできる

具体的には、フラット・ホワイト( サードウェーブ・コーヒー発祥のオーストラリアやニュージーランドで一般的なエスプレッソの飲み方。ラテよりもさらに細かくあわ立てたミルクに、エスプレッソをおよそ2:1程度の比率で加えたもの)やドリップ・コーヒー、コールド・ブリュー(水出しアイスコーヒー)などを出す。




新規オープンラッシュのマドリードの「カフェ・デ・エスペシャリダ」

このようにコーヒーを深く楽しめる「カフェ・デ・エスペシャリダ」だが、2017年にはいったあたりから、急にマドリードで新規オープンが続いている。
私が実際に訪問してみたこのトレンドのショップは以下の通り。
ぜひ参考にしてみて、興味があるお店があれば、ぜひ訪問してコーヒーを楽しんでみよう。

Santa Kafeina
住所:Calle de Viriato, 37
https://www.facebook.com/santakafeina/

#Chamberí 界隈で #コーヒーショップ飲み比べ 第二弾。 Iglesia 駅近くの小さなCoffee shop @santakafeina へ。スペイン国内の小規模な焙煎メーカーの豆を、一杯につき20gとダブルショットの分量を使用するのが最大の特徴。この日のコーヒーはタンザニアの豆をバルセロナで焙煎したもの。前回に引き続き酸味は強めだけど、コーヒーの香りがしっかりしてるのと、フレッシュミルクのフォームとうまく混じりあって相性良し。1-2人が立ち飲みできる程度の小さな店舗なのでtake away がメイン。閉店間際だったのでスイーツは試せなかったけど、Instagram 見るとドーナツも美味しそう。 #cafédeespecialidad en #madrid #flatwhite #coffee #マドリード #スペイン #珈琲

Miwaさん(@n_miwa)がシェアした投稿 –

Zero Pint Cofee Shop
住所:Calle de Santa Isabel, 37
https://www.facebook.com/zeropointcoffee/

La Colectiva Café
住所:Calle Francisco de Rojas, 9
http://www.lacolectivacafe.com/

最近、ご近所にいくつか新しいコーヒーショップ(バルやカフェテリアじゃなくて)がオープンしたので、飲み比べ。まずは一店目 @Lacolectivacafe コーヒーは個人的な好みよりは、やや酸味が強めかな。アーモンドミルクとかココナツミルクとか、カスタマイズの幅が売りらしい。ビスコチョはかなり美味しい。(試したのはオレンジとカルダモンとチョコレートのビスコチョ)。店舗はこじんまりだけどテーブル席あるし、通りに面して開放的で雰囲気はいい。サービスはまだちょっとぎこちないけど。 #コーヒーショップ飲み比べ #cafédeespecialidad en #madrid #flatwhite #coffee #マドリード #スペイン #珈琲

Miwaさん(@n_miwa)がシェアした投稿 –

Saint George Café
住所:Calle del Cardenal Cisneros, 62
https://www.instagram.com/saintgeorgescafe/

Bocono Coffee
住所:Calle de Embajadores, 3
http://bocono.es/

Bianchi Kiosko Café
住所:Calle de San Joaquín, 9
http://www.bianchikioskocaffe.com/

MAMAMERY Corner CAFE
住所:Calle de Barcelo 6 (MERCADO BARCELO 内 Puesto 317)
https://www.facebook.com/mamamerycornercafe/

(※)創業も何十年も経っていることも含めて、これらのトレンドには合致しないが、自家焙煎でコーヒー豆の産地別に注文できるマドリードお店といえば、Cafés Arrivederci( Calle de Augusto Figueroa, 18)がある。こちらもコーヒー好きにはお勧めだ。