マドリード、もしくはスペインで最も有名なレストランのひとつ「Botín ボティン」。
ギネスブックにも認定された「現存する世界最古のレストラン」として、世界中からファンが訪れる老舗の名店をレポートする。

ボティンの歴史

ギネスブックが言うところの世界最古のレストラン(諸説はあるそうだが…)であるボティンは、マドリードの中心地マジョール広場のArco de Cuchilleros(クチジェーロ門)を下った通りに、1725年に誕生した。
創立者はフランス人のジャン・ボティンとその妻で、今と同じCuchilleros通り17番地に大きな薪オーブンを持つ旅籠「Casa Botín(カサ・ボティン)」としてスタートした。ちなみに、その誕生と同時に生まれたレストランの大きな炭火オーブンは、現在でも健在で、名物のコチニージョ(子豚の丸焼き)は日々このオーブンから生まれている。
ジャンとその妻の死後、その甥が跡を継ぎ、その時代に店名が現在の「Sobrino de Botín(ボティンの甥)」と改名された。20世紀に入り、現在のオーナーであるゴンザレス家が経営を譲り受け、今は三世代目がレストランの営業を行っている。

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また、長い歴史を持つ有名店だけに、様々な逸話が残されており、代表的なところでは、スペイン絵画の巨匠であるフランシスコ・デ・ゴヤがマドリードへ上京した直後の1765年に、ボティンの厨房で皿洗いをしていたという記録が残されていたり、作家アーネスト・ヘミングウェイもボティンの常連で、二階の奥の席は彼の指定席だった。また、彼の代表作「日はまた昇る」の中でも、ボティンに関する記述が見られ、このことが一気にボティンを国際的な知名度に押し上げるきっかけとなったとも言える。

『BOTÍNの2階で昼食をとる。ここは世界中で最高のレストランの1つだ。子豚の丸焼きを食べて、リオハ・アルタのワインを飲んだ。Brettはそれほど食べなかった。彼女は常に小食なのだ。私はといえば、非常によく食べ、リオハ・アルタのワインを3本飲んだ。』
ヘミングウェイ『日はまた昇る』

レストラン入り口から左手にある小さな階段を下りると、貯蔵庫を改装した洞窟のようなレンガ造りのダイニングがあり、さらにその右手奥には、古いワインセラーがある。レストランのディレクトールの説明によれば、9世紀頃のマドリードはイスラム教徒が支配しており、城壁に囲まれた要塞だったが、その要塞の下には地下通路が続いており、残されていたその地下通路の一部を区切ってワイン貯蔵庫として利用したのだそうだ。

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ボティンの誇る伝統の味

ボティンといえば、何といっても創立以来の薪オーブンで焼いた子豚の丸焼きを試さなければ始まらない。
まだ母乳のみで育った、草を食べる前の乳のみ子豚の柔らく臭みの少ないミルキーな肉質と、薪オーブンで職人たちが丁寧に焼いたパリパリの皮の香ばしさのコンビネーションを心ゆくまで楽しもう。
これにスープとデザート、パン、ドリンクがついたセットメニューは44.35€となっている。

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また子豚以外の味を試すのであれば、ぜひ伝統料理の鶏のペピトリアをお勧めしたい。
玉ねぎ、卵黄、アーモンド、サフランなどを使ったクリーミーなソースで煮込んだ鶏料理で、米と併せていただく。
サフランやアーモンドの香りが効いていて、日本人の舌にも合う一皿だ。

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世界から客の集まる名店ゆえ、必ず予約しよう

今回の訪問中、レストランの入り口では予約なしのお客が入店を断念している様子が度々みられた。
せっかくの旅行でお目当てのレストランに入れないのはもったいないので、良い席を確保するためにも、早めの予約をお勧めする。
電話、もしくは、以下のEl Tenedorのオンライン予約が利用できる。

オンライン予約


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Botinを検索し、ページ右のReservarから日付、時間、人数を選択、”Continuar”ボタンをクリックし、氏名、メール、電話番号、国籍を選択し”Finalizar tu reserva”(予約完了)をクリックするとメールで予約情報が送られてくる。
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Botin 店舗情報

住所:Calle Cuchilleors 17, Madrid
電話番号:913 63 30 26
ウェブ:http://www.botin.es/
営業時間:13:00 – 16:00, 20:00 – 24:00
定休日なし(クリスマスイブ、元旦の夜営業は休み)
最寄駅:Sol, Opera