サンティアゴ巡礼ポルトガルの道は、ポルトガルから海沿いを北上するルートだ。このガリシアの西の海岸線は、リアス式海岸のオリジナルであるリアス・バイシャス地区で、スペインでも白ワインの産地として知られている。

前回記事:サンティアゴ巡礼ポルトガル人の道・ポルトガルとスペインをつなぐ橋

海のワイン テラス・ガウダ

今回の旅で最初に立ち寄ったワイナリーは、前回の記事で紹介した絶景のサンタ・テグラ山からも近いオ・ロサルのTerras Gauda(テラス・ガウダ)。
1990年にオープンしたこのワイナリーは、当初37000本のみだった生産量が、現在では150万本、スペイン国内のみならず海外への輸出も行われるリアス・バイシャス地区を代表するワイナリーのひとつに成長した。

このワイナリーの最大の特徴は、その原材料となるブドウにある。1600ヘクタールの畑で栽培するリアス・バイシャスの代表種であるアルバリーニョ以外にも、華やかなアロマを演出するロウレイロ、そしてテラス・ガウダが復活させたガリシア地方の土着品種カイーニョ・ブランコのブレンドにある。
また、アルバリーニョについては、115種の系統の異なるのクローンを探し出し、その中から自社の畑に最適な4つを選び出して栽培するというこだわりよう。発酵に使用する酵母も、自社畑に生息する酵母を独自に生成し、このリアス・バイシャスという風土とそこから生み出されるワインへの強い愛とこだわりを感じさせるワイン作りを続けている。

ワイナリー情報: Terras Gauda(テラス・ガウダ)
http://www.terrasgauda.com/
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岬のパラドール バイオナ

今回の旅、一番目の宿はパラドール・デ・バイオナ
リアス・バイシャスの南にあるパラドール・デ・バイオナは、三方向を海に囲まれたモンテレアル岬の城塞を利用したホテルだ。到着したのは夜だったので、すでに周囲は暗かったが、朝起きて客室の窓を開けるとビーゴ湾の風景が一望できた。

パラドールの周辺を城壁にそって散策すると、ヨットハーバーやビーチなどがあり、夏のバケーションシーズンには大人気だというのもうなずける。

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早起き騎士ペドロとソトマジョール城

ビーゴでシーフードを楽しんだ後、ソトマジョールにある古城を訪れた。

ここは、12世紀に建築がはじまり、15世紀ごろまで南ガリシアの政治的中心地となった場所で、15世紀に城主となったペドロ・マドルーガと呼ばれた貴族は、ガリシアの歴史上非常に重要な騎士だったそうだ。15世紀半ばに起こったガリシア貴族によるカスティーリャ王国に対する反乱の主要人物だったり、イサベル女王のカスティーリャ王国の王位継承をめぐって対立したフアナ・ラ・ネルトラネハ側(ドラマ「イサベル」あたりのエピソードですね!)についたりした人物だそう。あと余談だが、新大陸を発見したコロンブスと同一人物かもしれない?という説もあるようだ。

ちなみに、このペドロ・マドルーガというのはあだ名で、本名はペドロ・アルバレス・デ・ソトマジョールと言うそうだ。マドルーガといえば、スペイン語で早起き。そのあだ名の理由を城の守衛券ガードマンに質問してみたところ、戦いの際にはいつも一般的よりもずっと早く戦場に到着していたことに由来しているそうだ。




椿の町ポンテベドラと領主の館

ソトマジョール城の庭園も椿で有名だそうだが、ポンデベドラの旧市街の広場でも椿の花が咲いていた。このエリアは椿の栽培で有名だそうだ。

椿はもともとは日本など東洋産の花で、17世紀にイエズス会の宣教師やポルトガル商人によってポルトガルやガリシアへ持ち込まれた。美しい椿の花は、ヨーロッパで流行し、ガリシアの古城の庭園などで好んで栽培され、現在では200種類以上の椿をガリシアで見ることができる。

ポンテベドラのPazo de Rubianes(パソ・デ・ルビアネス)は、特に多くの椿を栽培することで知られた広大な庭園とワイナリーとで知られている。

パソとは、ガリシアのいわゆるマナーハウス(中世ヨーロッパの荘園に領主が建てた邸宅のこと)で、パソ・デ・ルビアネスは15世紀にもともとあった城塞を利用して、18世紀頃にガリシアの貴族ルビアネス家が建てた邸宅だ。敷地内には、多くの植物が収集・栽培されており、マグノリアの大きな木や日本杉、そして何百種類もの椿が咲いていた。


敷地の奥の高台の傾斜には、広大なアルバリーニョのブドウ畑が広がり、ここで作られたワインは敷地内の試飲室で味わうことができる。