スペインのクリスマス宝くじ

スペインのクリスマスに欠かせないイベントのひとつにクリスマス宝くじがある。
もともと宝くじが好きなスペイン人だが、中でもこのクリスマス宝くじロテリア・デ・ナビダは特別で、町中の宝くじ売り場では勿論のこと、バルやお店でも販売していたり、会社の同僚や仲間内でもまとまって購入するなど、ともかく多くのスペイン人たちは競って宝くじを買い求め、12月22日にマドリードのテアトロ・レアルで行われる抽選を待ち望んでいる。
抽選日が近づくと前年の当選の様子や今年の準備のニュースがテレビなどでも放送されるし、抽選中や抽選後は新たな当選者のインタビューが連日行われるなど、とにかく宝くじの話題一色になる。それほどの国民的行事なのだ。

なぜそんなに盛り上がるのか?宝くじのシステムは?など、今回はスペインのクリスマス宝くじについて紹介してみようと思う。

スペインのクリスマス宝くじがこんなに盛り上がる理由

宝くじの抽選は、ボンボと呼ばれる二つの大きな丸い抽選の籠にそれぞれ抽選番号と賞のコマが入っており、ボンボをまわして出てきたコマが当選番号となる。この出てきたコマを読み上げる役目は、毎年マドリードのコレヒオ・サン・イルデフォンソという学校の生徒が担っており、独特の節回しで当選番号と当選金額を読み上げる。ボンボを回しては子供達が番号と当選金額を歌う、この一連の流れが、すべての抽選が終わるまでのおよそ三時間半ひたすら続き、その間、スペイン中のバルやお店のテレビやラジオから子供達の歌うような節回しが流れ続ける。
賞も順不同で出てくるため、いつ一等のエル・ゴルドがでるか分からないこともあり、スペイン中の人がテレビやラジオで固唾をのんで聞き入って、自分の番号が呼ばれる事を夢見るのだ。

2008年の一等を読み上げる子供達の様子はこちら。

そして、宝くじのシステムは日本のものと大きく異なる点は、なんといっても同じ番号が多く発行される点にある。
くじの番号は00000番から99999番までの100000種類あり、各番号ごとに160枚が発行される。一枚の券は200ユーロと高額な設定となっており、これを10分割したデシモと呼ばれる10分の1の券が一枚20ユーロで販売される。つまり、最大1600枚の同じ番号のデシモ券が販売される計算だ。
そして、スペインのクリスマス宝くじが盛り上がる最大の要因の一つはこの点にある。多くのスペイン人は、会社や家族、バルの常連や仲間内などで、同じ番号のくじを購入するため、その番号が高額当選した場合には、そのグループ全員が恩恵を受けられるシステムになっているのだ。
そのような状況もあり、12月22日の抽選当日は、冗談半分、本気半分で、「さあ、エル・ゴルド(一等)が当たったら皆で何する?世界旅行?別荘でも買う?」というメッセージが仲間内で飛び交う。

2016年のスペインのクリスマス宝くじ

2016年のスペインのクリスマス宝くじ




なんと70%の高い還元率!

そして、スペインのクリスマス宝くじの魅力は、なんといってもその高い還元率だろう。
日本の年末ジャンボ宝くじの還元率、つまりくじの購入金額に対する賞金の率がおよそ50%と言われているのに対して、スペインのクリスマス宝くじの還元率はなんと70%。 多くの賞金が分配される世界でも人気の高い宝くじなのだ。

それぞれの当選金額は

  • 1等「エル・ゴルド」 4.000.000€ 1本
  • 2等 1.250.000€ 1本
  • 3等 500.000€. 1本
  • 4等 200.000€. 2本
  • 5等 60.000€. 8本
  • 6等 1.000€. 1794本

前後賞は

  • 1等の前後賞20.000€ 2本
  • 2等の前後賞12.500€ 2本
  • 3等の前後賞9600€ 2本
  • 1等・2等・3等・4等の当選番号と最初の3桁が同じ 1.000€(495本)
  • 1等・2等・3等・4等の当選番号と最後の2桁が同じ 1.000€(2997本)
  • 1等と最後の1桁が同じ200€(9999本)

となっている。

これらの当選金額は一枚=10デシモに対する金額なので、デシモ券一枚を購入していた場合には10分の1の金額になる。つまり一枚20ユーロの券に対して、最高額400.000€、つまり2016年8月現在のレートで日本円でおよそ4.5千万円が最高当選額となる。それぞれの金額だけみるとさほど高額とは言えないが、ひとつの番号の発行数が非常に多いため、非常に多くの人々がなんらかの形で当選する可能性が高いのが最大の魅力だ。

購入は例年7月頃から抽選の前日の12月21日まで、宝くじ売り場やバル、お店などで購入することができ、当選番号はリアルタイムでクリスマス宝くじの公式ウェブサイトや各新聞の特集サイトなどで確認することができる。また、当日以降に宝くじ売り場で宝くじ券を渡すと、当選のチェックと換金をしてもらえるので、12月21-22日を挟んでスペインに滞在する予定のある方は、滞在中に購入と当選の場合は換金が可能だ。
あるいは、夏以降にスペインを旅する人は運試しに購入しておき、もし幸運に恵まれ高額当選した場合には、ゴージャスなクリスマスと新年を過ごしにスペインへ再訪することを夢みるのも楽しいかもしれない。
何よりクリスマス宝くじを買っておけば、日本にいても12月22日の抽選会にワクワクできることは間違いないだろう。

また、クリスマス宝くじの後には、少し規模と扱いは小さくなるが、年明け1月6日に抽選が行われる宝くじ、ロテリア・デ・ニーニョも行われ、二度目のチャレンジも可能だ。

スペインの宝くじで運試しをしてみるのも旅の最中の特別な思い出になりそうだ。