マドリードのスペイン広場に隣接して、セラルボ侯爵家の館を利用した美術館があるのをご存知だろうか?
絵画や彫刻、陶器、甲冑などの武器など約5万点以上の美術コレクションを所蔵しているだけでなく、グランデの称号を持つ貴族の館自体も美術的に計り知れない価値を持つ邸宅美術館だ。
とはいえ、その素晴らしさの割には、日本人にとっては今ひとつ知名度が低めで、ガイドブックにも載らないことがあるのは、2006年から2010年にかけて、改修のために閉館していたことも関係があるかもしれない。
しかし、マドリードにいくつかある貴族などの館を利用した邸宅美術館のなかでも、その華やかさや豪華さ、コレクションの充実度では群を抜いており、マドリードに来たならば一見の価値のある、宝石のように素晴らしい美術館のひとつだ。

ぜひ一度、侯爵の館を訪れて、素晴らしいコレクションや、マドリードの屈指の美しい主階段や息を飲む美しいサロンを堪能してみて欲しい。
セラルボ美術館




第17代セラルボ侯爵のコレクション

マドリードの中心地にあるセラルボ美術館は、考古学に造詣の深い歴史家、収集家としても知られる17代目セラルボ侯爵エンリケ・デ・アギレラ・イ・ガンボア(1845-1922)の住まい、兼、自身の膨大なコレクションを展示する美術館として1883年から1893年の間に建てられた。彼の死後は遺言により、コレクションの多くは国立考古学博物館に寄贈されたが、スルバランやエル・グレコの絵画をはじめ、一部はそのまま館に残され、1944年に美術館として一般開放された。
1962年にはスペインの歴史芸術文化財に指定され、現在では年間8.1万人が訪れる知る人ぞ知るマドリードの人気美術館のひとつだ。

セラルボ美術館

19世紀スペイン貴族の華やかな社交サロン

スペイン広場から見て一本北側のベントゥーラ・ロドリゲス通りに美術館の入り口がある。入り口をはいるとすぐに美しい主階段に目を奪われるが、まずは左手の階段を上り、右手側にチケット売り場へ向かおう。
(ちなみにこの階段は、マドリードで最も美しい階段のひとつとも言われている。)
入場料を支払い、コレクションの説明が書かれたカタログ(見学後に返却)を受け取り、余計な荷物などはロッカーに預けてしまおう。フラッシュなしであれば、カメラ撮影が許可されているので、カメラもお忘れなく。

セラルボ美術館 主階段

チケット売り場と同じ階は主に侯爵一家の住まいとなっている。絵画が配置された廊下の奥からは、パティオにも下りることができる。一通り見学を終えたら、一度階段を下りて、次はもう一方の階段を上って、上の階の武器の間から見学をスタートしよう。

数々のコレクションを展示したギャラリーやチェス、ビリヤードをおいた遊戯室、図書館、侯爵の執務室などが見学できる。なかでも、舞踏サロンは、19世紀スペインの華やかな貴族社会の社交の様子をを垣間見ることができるため息の出る美しさだ。

セラルボ美術館

セラルボ美術館

セラルボ美術館

Museo Cerralbo セラルボ美術館情報

住所:Calle Ventura Rodríguez, 17
最寄駅:Plaza de España, Ventura Rodoriguez
http://museocerralbo.mcu.es/
入場料:3€(木曜午後、土曜14:00以降、日曜は無料)
開館時間:
火-土:9:30 – 15:00
木:17:00 – 20:00
日 祝:10:00 – 15:00
閉館日:月曜日、1月1日,6日、5月1日、12月24日、25日、31日 ローカルホリデー
マドリードの祝祭日

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