ロマン主義とは、主に18世紀末から19世紀前半にヨーロッパで起こった文芸や美術、音楽などの運動である。それまでの古典主義が、理性や合理主義に重きを置いたのに対し、感受性や主観に重きをおき、恋愛賛美、民族意識の高揚、中世への憧憬といった特徴を持っている。

このロマン主義は、19世紀の女王イサベル2世の治世下のスペインでも大流行し、ロマン主義的肖像画家フェデリコ・デ・マドラーソらが活躍した。
マドリードのトリブナル駅近くにあるロマン主義美術館は、その時代のコレクションを集めた美術館で、トレドのエル・グレコ美術館やバジャドリのセルバンテス美術館を設立したベガ・インクラン侯爵ベニグノによって創設された。

現在の美術館となっている建物は、1776年に建築家マヌエル・ロドリゲスによって建てられたもので、1850年にプエブラ・マエストレ伯爵が所有した後、1921年にベガ・インクラン侯爵によって創設された地域観光庁が置かれることとなる。

その後、ベガ・インクラン侯爵は、芸術友の会の会員に呼びかけ、ベガ・インクラン侯爵本人や、セラルボ伯爵や作家のマリアーノ・ホセ・デ・ララ、ホセ・デ・ソリージャ、フアン・ラモン・ヒメネスなどが所有していた絵画、家具、装飾品などを収集し、1924年にロマン主義美術館をオープンさせた。

元貴族の館であった建築にロマン主義の時代の家具や絵画などを展示したこの美術館は、当時の貴族たちの生活を美しい調度品と共に垣間見る事ができる。

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美術館の中で最も華麗な「舞踏の間」。
肖像画やイサベル2世のピアノが飾られている。当時の社交界サロンの雰囲気を楽しむ事ができる。
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家族が集った食堂。
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礼拝堂にはフランシスコ・デ・ゴヤによる「Gregorio Magno大聖グレゴリウス」の肖像画。
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1860年製のスタンウェイ&サンズのピアノ。
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また、美術館を鑑賞した後は、ロマン派美術館のカフェテリアもぜひ試してみてほしい。ロマンティックな雰囲気を楽しめることで有名だ。有料エリアの外にあるので、カフェのみの利用するマドリレーニョも多い。

ロマン派美術館

住所:C/ San Mateo, 13, madrid
最寄り駅:Matro Tribunal

開館時間:
11月1日 – 4月30日
火-土 9:30 – 18:30 / 日・祝 10:00 – 15:00
5月1 – 10月31日
火-土 9:30 – 20:30 / 日・祝 10:00 – 15:00

閉館:毎週月曜、1月1日、6日、5月1日、12月24日、25日、31日

入場料:3€
※以下の入場は無料
土曜日14時以降
日曜日
5月18日、10月12日、11月16日、12月6日
18歳以下、65歳以上