昨年、チャンネル銀河で日本放送されたスペインの歴史大河ドラマ「イサベル~波乱のスペイン女王」の大好評を受けて、続編である「フアナ~狂乱のスペイン女王」、そして「カルロス~聖なる帝国の覇者」の放送が決定したとのニュースが入ってきた。

スペインの歴史上、もっとも重要な人物のひとりで、グラナダを陥落してレコンキスタを完成、そしてコロンブスの新大陸到達の後ろ盾となるなど、多くの偉業を残したカトリック女王イサベル1世。物語はその娘カスティーリャ女王フアナ、そして孫カルロス1世の世代へと続いていく。
今回は、今年の春からの放送が決定した「フアナ~狂乱のスペイン女王」の見どころを、スペインの歴史好きの私なりに紹介してみようと思う。

フアナ・ラ・ロカは本当に狂人だったのか?

「フアナ~狂乱のスペイン女王」は、原題「La Corona Partida(引き裂かれた王冠)」という映画作品で、本国スペインでテレビシリーズ「イサベル」の大人気を受けて2016年に製作された。

イサベル1世とフェルナンド2世には5人の子供がいたが、次女のフアナは政治に興味が薄い内向的な少女だったと言われている。確かに結婚の少し前に描かれたといわれる彼女の肖像画をみると、うつむき加減でどことなく思いつめたような印象で、ナイーブそうな美少女ではあるが、快活さや少女らしさがあまり感じられない。後に、フアナ・ラ・ロカ(狂女フアナ)と呼ばれる運命を知っていると、なおさらその片鱗はすでに彼女の表情に表れているような気もしてくる。

1495年頃のフアナ

彼女の運命が大きく動き出すのは、神聖ローマ帝国皇帝の長男でブルゴーニュ公フィリップとの結婚からだった。
フアナは美公と呼ばれた美男子フィリップにひと目で恋に落ち、二人は情熱的に愛し合い、後のカルロス1世を含む2男4女をもうける。しかし、狩りやトーナメント(槍試合)が得意で、話術も巧みな美貌のフィリップは浮気癖も激しかったことから、信心深くまじめて思いつめる性格のフアナは激しい嫉妬でしばしば激高するなど、精神の安定さがみられたとも言われている。愛するのも、憎むのも激しいのは、いかにもスペインの女性らしいともいえるかもしれない。

そんな頃、姉と兄、そしてその子供たちが相次いで亡くなり、カスティーリャ王国の王位継承者となり、その摂政の立場をめぐって父フェルナンドと夫フィリップが対立していく。

「イサベル」の系図

ちなみに、4女のカタリーナはイングランド王ヘンリー8世の最初の王妃キャサリン・オブ・アラゴン。そして、その娘がブラッディー・メアリーと呼ばれたメアリー1世。イサベルの血統は、波乱と悲劇の人生を送る人物が多い。
あとこの家系図のなかでは、カルロス1世の息子のフェリペ2世は、日本の天正少年使節団がマドリードで謁見している。思わぬところで日本ともつながっている。

「フアナ~狂乱のスペイン女王」は、イサベル女王の死の直後から物語がはじまり、激しい恋情とカスティーリャ女王としての自身の誇り高さ、周囲の人々の権力への野望とに翻弄される女王フアナの悲劇と、群雄割拠のヨーロッパで勢力を拡大していくスペイン王国の行く末が描かれる。

カスティーリャ王国の実権をめぐって対立する夫は、宮廷の貴族たちの前で「フアナは正気を失っており、カスティーリャを統治する能力はない」と主張する。

 




プラド美術館の狂女王フアナ

マドリードのプラド美術館内の私のお気に入りのひとつに19世紀の絵画を集めた展示室があるが、その部屋の中で、もっともドラマチックで強烈な印象を残す一枚の絵画がある。フランシスコ・プラディージャ・イ・オリティスの「ドーニャ・フアナ・ラ・ロカ」だ。

夫の遺体とともに荒野をさまようフアナが主題となっており、棺を見つめる異様な熱のこもったフアナの目は、たとえフアナの歴史を知らなくても、ひと目にみたら忘れられないようなインパクトのある絵画だ。写真ではわかりにくいが、実際に見てみると何しろ大きい。高さ3.4メートル、幅5メートルとほぼ等身大サイズで描かれており、とにかく迫力のある作品だ。

もちろん、この場面も映画内で再現される。「イサベル」同様、再現度が高く、絵画好きや、プラド美術館でこの絵画を見たことがある人にとっては、まるであの絵が動きだしたように感じるはずだ。

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「イサベル」と同キャストが出演で世界観を引き継ぐ

今回の「フアナ~狂乱のスペイン女王」では、引き続き同じ役者が演じている。
フェルナンド2世を引き続き演じる人気俳優のロドルフォ・サンチョに加えて、第35話に登場した美公フィリップを演じるラウール・メリダもさすがの美男子っぷりだ。

そして、フアナを演じるイレーネ・エスコラールは、舞台や映画で活躍し、スペインのアカデミー賞ともいわれているゴヤ賞の主演女優賞を獲得した実力派。

製作には、エキストラを含めて1000人を超える出演者、100頭以上の馬を使い、トレドのグアダマール城やトレド大聖堂、ブルゴス大聖堂、トーレラグーナのサンタマリア教会、マドリードのリンコン宮殿などでロケが実施された。

「フアナ~狂乱のスペイン女王」前後編放送決定

映画「La Corona Partida」は、「フアナ~狂乱のスペイン女王」としてチャンネル銀河で前後編として放送されることが決定した。

放送日
前編:3月1日(木)深夜1:00-深夜2:15
後編:3月2日(金)深夜1:00-深夜2:15

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